「あの、わたしはサエです。サエ・アンダーソンです」

 彼女たちが扉から出ようとしたタイミングで、自信に満ち溢れたふたつの背中に名乗った。

 どうせ無視されるだろうと思いつつ。

 たとえ彼女たちがわたしに危害をくわえようとしているのだとしても、一応自己紹介はしておきたかった。

 が、予想に反して彼女たちはいっせいに振り返った。それから、こちらに戻ってきた。