『ああ、なんて不幸なの。パーシーはすぐ目の前だというのに、陛下みたいな野獣を好いているふりをしなければならないなんて。しかも、その座を狙っているという悪女を装うなんて……。レッドグレイブ公爵家に生まれてきたことを、いまほど悔やむことはないわ』
『わたしたち、なんてかわいそうなの。レッドグレイブ公爵家の娘にさえ生まれてこなければ、陛下のような野獣の妃の座を狙うふりをしなくてもよかったのに。野心満々の大悪女と呼ばれることもなかったのに。ああ、ふつうに生まれていれば、チャーリーと添い遂げられたかもしれないのに。彼と愛し合い、しあわせな家庭を築き上げられたかもしれないのに』
 それから、彼女たちの「真実の声」も流れ込んできた。