『ああ、なんてことだ。せっかく優秀な侍女を王都から呼び寄せたというのに、彼女に拒否されてしまった。彼女が不便な思いをしているだろうし、なにより男ばかりで同性がいなくて寂しい思いをしていると考えに考え抜いたのに……。やはり、彼女におれの想いは通じないのか? おれの真心は伝わらないのか?』

 直後、彼の「真の声」が流れ込んできた。

(ご、ごめんなさい)

 ヴィクターのあまりの嘆きように罪悪感に苛まれたのはいうまでもない。

 彼の悲しみを無視するほど、わたしは悪女ではない。