「こんなガタつく馬車でよく眠れるもんだ。昨夜から今日一日中馬車を走らせているおれの身にもなってもらいたいもんだ。馬を三度もかえなきゃならなかったんだぞ。まぁ、金貨二枚にはかえられんがな。もうすぐ国境だ。やっとおまえを放り出せる」
だみ声はそう一方的に告げた後、いっさいきこえてこなかった。
痛みをこらえつつ座席に座った。
じょじょに記憶が戻ってきた。
(そうだわ。大階段で義姉に……。気を失ったのね。でっ、なぜ馬車に?)
問わずにはいられない。
先程の馭者の言葉を思い出し、推測する。
だみ声はそう一方的に告げた後、いっさいきこえてこなかった。
痛みをこらえつつ座席に座った。
じょじょに記憶が戻ってきた。
(そうだわ。大階段で義姉に……。気を失ったのね。でっ、なぜ馬車に?)
問わずにはいられない。
先程の馭者の言葉を思い出し、推測する。

