自分自身がいろいろな面で変化したことをあらためて認識している間に、ヴィクターはマドレーヌを一個、二個と口に放り込んだ。そして、咀嚼してゴックンと飲み込む。

『仕方なく食ってやってる』、そんなオーラを出しながら。

 開いたままの窓から、微風と小鳥たちの囀りが流れてくる。

 しばらくの間、小鳥たちの囀りをきいていた。

 ようやくヴィクターが口を開いた。