他国の軍の駐屯地の中で、大勢の男性の目にさらされ、ある意味注目されている。ヴィクターだって見ていないふりをしつつもこっそり見張っている。どこかに行くときでも、かならずだれかがついてくる。もちろんそれは、わたしを監視しているわけではない。みんなにしてみれば、国王であるヴィクターがなにを言おうがわたしは彼の婚約者。その国王の婚約者の身の安全を護ることは、彼らにすれば当たり前のことらしい。だから駐屯地内でどこかに行くのでさえ、親衛隊の隊員がついてくる。もっとも、それも最初は煩わしかった。しかし、いまでは慣れてきている。

 そして、そういう物理的にというだけでなく精神的にも「カゴの中の小鳥」状態であることはいうまでもない。

 ということは、実際のところは自由ではないことになる。

 が、気持ち的には以前よりよほど解放感があるし、自由気ままに考えたり行動している。

 それらを考えると、いろいろ微妙である。