他国の国王ヴィクターのもとにやって来て、十日ほどすぎた。ときだけは、あっという間にすぎていく。

 この駐屯地に女性の兵士はいないらしいので、男性ばかりの中すごしていてちっとも不便でも寂しいこともなく、自分でも驚くほど快適にすごさせてもらっている。

 ヴィクターは、あいかわらず口では不愛想で無遠慮で冷たくて辛辣なことばかり言っている。しかし、彼の「真実の声」は、こんな見ず知らずのわたしのことを大切に想ってくれていることがよく伝わってくる。

 パーシーやチャーリーを始め、駐屯地のみんなが国王とわたしをくっつけようと躍起になっている。当然、行動を起こすわけだけど、空回りばかりしているのが現状。

 当事者のはずなのに、そんな空回りなみんなの行動を微笑ましく眺めている自分がいる。

 正直なところ、ここにやって来てよかったと思う。

 心の底から……。