「いただきます」

 手を合わせて感謝を示す。

『うわあああああっ! 彼女、可愛すぎだろう? スイーツ万歳! 可愛い彼女には、スイーツがピッタリだ。いっそスイーツになって食べられたい』

 ヴィクターの「真実の声」が心に流れ込んでくる。

(うわっ! いくらなんでも彼を食べるなんて……。 その反対なら想像出来るけど)

 もともとわたしは生贄で、生贄として差し出した元夫は「煮るなり焼くなり」なんて言っていた。

 わたしがヴィクターに煮るなり焼くなりされるのならわかるけれど、わたしが彼を調理するとしたらどうすればいいの? 煮たり焼いたりって出来るものなのかしら?

 そんなくだらなくてどうでもいいことが浮かんできたので、頭を軽く振って追いだした。

 それからフォークでチョコレートケーキを一口分切り分け、頬張った。