「あの、レディ。陛下のこと、申し訳ありません。根はいい人なのです。レディが苦手なもので。けっしてあなただから、というわけではありません」

 パーシーが真剣な表情で訴えてきた。

「おれたち、あなたが政略結婚の道具だとか人質だなどとは思っていません。ましてや生贄などと。強面不愛想不器用な陛下の花嫁だと思っています。いいえ。期待しているのです。思いよがりかもしれませんが、あなたがいつか陛下のことをわかってくれて彼を尻にしいてくれるかなと」
「なんですって? チャーリー、まさかわたしはそこまで強くはありませんよ。それ以前に、ここにおいて下さるだけで、わたしは満足しています。ヴィクター様の花嫁だなんて、とてもではないですがつり合いがとれません。荷が重すぎます。ヴィクター様には、もっといいレディがいるはずですよ」