甘くて優しい青春恋物語 ~嫉妬にまみれた体育祭は取り合い勃発!?~

 ……ん? あの人、誰だろ?

 不意に視界に入ったのは、見た事ない男の人。

 うちの制服を着ていると言えど、あんな顔の人は見た事ない。

 私がただ知らないだけかもしれないけど、なんだか困っている様子。

 遠目から見ても狼狽えていそうだと分かるから、つい声をかけてしまった。

「あの……どうしたんですか? 何か困り事ですか?」

「……あっ、良かったですっ。ここの学校の人ですよね……!」

 ここの、学校……? え、どういう事?

 あなたもここの学校の人じゃないんですか?とこっちが聞きたくなり、あからさまに『現状が理解できてません』オーラを出す。

 それに気付いてくれたのか、目の前のその人は困ったように笑った。

「ご、ごめんなさい。急に言ってしまって……僕は今日からここに転校してきた者なんですけど、情けない事に道に迷ってしまって……。どうすればいいかと途方に暮れていたんです。」

「変な時期の転校ですね。」

「あはは……それは自分が一番よく分かっているよ。」

 うーむ、この人は爽やかイケメンという部類に入る人っぽいな。何かそんな感じしかしない。