甘くて優しい青春恋物語 ~嫉妬にまみれた体育祭は取り合い勃発!?~

 そう言いたくなるも未だ呼吸が整っていなくて、一発ぶん殴る。

 ……けど、勝てるはずもなく。

「どーせ昼にも会えるんだから、そう怒らないで。」

「誰のせいだと……!」

 こういうのを、ケンカップルと言うんだろう。

 まぁ私が喧嘩を吹っかけて、無残に負けているだけなんだけど。

「香ってほんと可愛いよね。こーゆーところも。」

「嬉しくないっ!」

 気が済まなかった私はもう一発、重たいと思っているパンチを静流に入れた。



 その後のお昼はなんとか静流の面倒臭さを回避して、お弁当を食べ終えた。

 でも、その時に言われた言葉が頭から離れそうにない。

『香は警戒心ないから、キスしようと思えばできるんだよね。』

 とか。

『可愛すぎる。とりあえず抱きしめてもいい?』

 とか!

 馬鹿な事しか言わなかったよなぁ……なんて、ぼんやり思い出す。

 ていうか、そろそろ授業始まるから戻らなきゃなぁ……。

 静流のことで時間を割いている場合じゃない。やめだやめ。

 ふるふると首を左右に振って、自分の教室のほうに視線を向ける。