甘くて優しい青春恋物語 ~嫉妬にまみれた体育祭は取り合い勃発!?~

 くそっ……どこまでも嫌な奴だ。

 今日初めて会った男……佐納に苛立ちが募る。

 人のことは言えないが、面倒そうな男だな。直感的にそう思った。

「そうだね……まずは何から話そうか。」

 ワイシャツの皺を直しながら呟いたそいつに、苛立ちが抑えきれないまま催促する。

「全部だ。発端から全部話せ。」

「先輩に対して凄い物言いだね。……発端は、僕が香ちゃんに惚れたからだよ。」

「は?」

「あはは、すっごい顔。せっかくのイケメンが台無しだよ?」

 煽るようにそう言ってきたそいつはどこまでもウザイが、それ以上に怒りが大きかった。

 惚れた、だと……?

 何勝手に……香を好きになってんだ……っ。

「僕って方向音痴でさ、助けてくれたのが香ちゃんだったんだ。あの子、口調はきついタイプだけど、優しいのが隠しきれてないよね。だから可愛いなって、一目惚れしたんだよね。」

「……告白は、バッサリだったらしいな。」

「知ってたんだ。だったら話は早いね。そう、僕は振られたんだ。しかも、二回もね。」