甘くて優しい青春恋物語 ~嫉妬にまみれた体育祭は取り合い勃発!?~

「……分かってるんじゃん。」

「そりゃ、ね。」

 余裕そうな静流の微笑みに、不覚ながらきゅんとする。

 ……~~っ、こういうところがあるから……。

 私と視線を合わせるように隣にしゃがんだ静流は、同じように近くの枝を拾って地面に描く。

「……? 静流、何描いてるの?」

「犬、だけど。」

「い、ぬ……? これが?」

 静流は思わぬ画伯だったらしい。地面に書かれた犬は、とても犬とは見えなかった。

 犬……というより、キメラ的な何か。

 犬って足4本だよね? 私には6本あるように見えるんだけど……尻尾、かもしれない。

 どちらにしろ、頭が理解を拒んでいる。

 それほどまでに描かれた犬らしき何かは、理解しがたいものだった。

「何て言うか……酷いね。」

「それ香が言う? 香のだって、何描いてるかさっぱり。」

「こ、これは兎だし……!」

「兎……、兎って、こんなんだっけ。」

 ええいっ、うるさいうるさいっ!

 私だって自分の絵が壊滅的なのは知ってるから、わざわざ現実を突きつけるような事を言わなくても……。