甘くて優しい青春恋物語 ~嫉妬にまみれた体育祭は取り合い勃発!?~

 よしっ、これで私の用事は終わった。

 本当はすぐにここから立ち去ってしまいたいけど、あんまり早く帰ったら感じが悪い。

 でも間を持たせる方法なんて思いつかないし……。

「あの、折羽さん。」

 うーんと人知れず、悩み始めた時。

 目の前の彼がいきなり、とんでもない事を言い出した。

「一目惚れしました。僕と付き合ってほしい。」

 …………はぁ。

 私が予感していた面倒事って、こういう事だったのか。

「え、無理ですけど。」

「そこをなんとか……!」

「……無理なものは無理ですので。」

 このやりとり、静流に告られた時を思い出す。

 けど、そんな思い出に浸っている場合じゃないのは分かっている。

「第一、私には彼氏が居るので。申し訳ないですけど、佐納さんの気持ちには応えられそうにありません。」

 きっぱり、自分の言い分を口にする。

 流石にこれで分かったでしょ……彼氏持ちの女になんか、興味はないだろうし。

 と、軽く考えたのが間違いだったらしい。

「……僕、折羽さんみたいなかっこいい人ともう会えないと思うんだ。また惚れたよ、折羽さんのかっこよさに。」