甘くて優しい青春恋物語 ~嫉妬にまみれた体育祭は取り合い勃発!?~

「あ、折羽さん来てくれたんだねっ。」

 ぼーっと校門から見える景色を見ていると、突然声をかけられた。

 びっくりして急いで振り返ると、そこには私服姿の佐納さんが。

 大学帰りなんだろうか、何やら重そうなナップザックを背負っている。

「もしかして待たせちゃった? ごめんね。」

「いえ、気にしないでください。別にそこまで長時間待ってないので。」

 二度目の顔合わせでタメか……まぁ、佐納さんのほうが年上なんだからいいんだけど。

 そう思いながら、むすっとした顔で彼を見据える。

 そうしていると何故か佐納さんは、ぽっと頬を染めた。

 ……うぇ、何か嫌な気が増えた。

 絶対面倒な事が起こる。そんなの、容易に確信できる。

「……これ、この前のお礼だよ。折羽さんのおかげで次の講義に間に合ったよ、ありがとう。」

「ど、どういたしまして。こんな事でお礼なんて良かったのに。」

「いや、こういうの気にしちゃうタイプでね。受け取ってよ。」

「ではありがたく。」

 心にも思ってない事を口にしてから、丁寧にフィナンシェを貰う。