嫌味のように小さく呟き、視線を地面に落とす。

 そのまま座り込んだ私は、近くにあった枝を拾ってテキトーに丸を描いた。

 元々静流のクラスは運動部が多いし、学年優勝候補ではある。

 私はこう見えて、体育祭に限っては全力を尽くしたいタイプだ。だって楽しいもん。

 手は抜きたくないし、負けたくないし、圧勝したい。

 だから頑張ってると言うのに、静流の無気力さを目の当たりにしてるとイラついてくる。

 しかも静流の言う事は全て本当だから、それもイラつく。

「俺は、そんなのどうでもいい。優勝しようがしまいが、何かが変わるわけじゃないし。」

「……能天気。」

「まぁ、それは香も知ってる事でしょ。」

「うるさい。」

 ほんと、どこまでもムカつく。

 私は静流のどこを好きになって付き合っているんだ、と自問したくなった。

 ……静流から離れたくないって思う気持ちは、きっと本当だろうけど。

「それに、俺のクラスが優勝したら香のクラスが優勝できない。それは香だって、嫌なんじゃない?」