甘くて優しい青春恋物語 ~嫉妬にまみれた体育祭は取り合い勃発!?~

 ヤバい……授業まで3分切った……。

 できるだけ授業を休みたくない私は、未だ狼狽えていて追いかけてくる彼にイラついてしまう。

「もうっ、早く来てください……!」

 だから咄嗟に彼の腕を乱暴に掴んで、走っているような早歩きをした。

 遅く来られたらこっちも困るんだってば……!

「ちょ、ちょっと……っ!」

 彼の声を相変わらず無視し、構わず渡り廊下まで連れていく。

 そこまではものの1分。焦ったかいがあった。

「はい、ここ行ったら大学は入れるんで。私はこれで――」

「……ま、待って!」

「はい?」

 踵を返し、教室に帰りたいというはやる気持ちを抑えつつ、少々ぶっきらぼうに返事する。

 そうすると彼は、まっすぐな瞳で私を見つめた。

 ……な、なんか気まずい。

 人に見つめられるのは得意じゃない。人の目、そのものが苦手だし。

 それなのに否応なしに見つめてくる彼から、視線を外した。

「要件があるならさっさと言ってください。私、急いでるんで。」

 急かす為に早口でそう言うと、一瞬だけ息を呑んだ彼。