こうして、『神導位』の座から外された黒百合家。


「…聞いたか?今回の呪披の儀で、神導位が替わったらしいぞ」

「神導位が!?…まさか〜!そんなことあるわけ――」

「いや。どうやら、最後の最後で黒百合家が敗れたらしい」

「…え〜!!あの黒百合が!?」


皇居のある都では、すぐに噂が広まった。


そんな会話を耳にもしたくない貴一たちは、翌日には都で土産などの買い物もせずに、すぐに荷物をまとめて帰ることになったのだった。


和葉は、貴一たちが帰ってきた翌日の新聞で呪披の儀の結果を知った。

『東雲玻玖』という名の呪術師が新たな神導位に選ばれたと。


しかし、玻玖に関する情報はほとんど書かれていなかった。

狐の面をつけた不思議な男ということくらいしか。


そもそも、『東雲』という呪術家系もこれまでに聞いたことがない。