「本当に、和葉は扱いやすくて便利だわ」

「ああ。頑なに拒むようなら、また“アレ”で縛るまでだったが、その必要もなかった」

「そうね。あの子が自分で決めたのだから」

「こんなに思いどおりになる人間など他にいない。呪術が使えないかわりに、和葉には他で黒百合家のために役に立ってもらわねば困るからな」


貴一と八重がそんな話をしていることなど、明日の呪結式に控え、眠りにつく和葉には知るよしもなかった。