betrayal～元彼御曹司との不倫～

「けど、写真で見てたより十和子さん可愛いよね。
春馬が夢中になるのも分かる」

お世辞だとしてもこんな綺麗な人にそう言われて、嬉しいような恥ずかしいような。
にしても、写真って。

「何度か春馬から十和子さんの写真見せて貰ってたから。
だから、今日十和子さん見た時そうだって分かったの」

最初、会社の前で会った時に写真がと言われて、浮気調査とかで興信所の探偵に撮られた写真でも見たのかと思ったけど。
そっか。そういう事か。

「だから、十和子さんさえ良ければ、春馬と寄りを戻して欲しいな、って。
話したように、私と春馬は結婚しているけど、それは本当に籍だけの事だから」

美怜さんは、私と中村春馬との事をどこまで知っているのだろうか？
数日前に、彼が私の部屋に泊まった事は、犬の事をお願いしたLINEから知っているだろうけど。
だから、私と中村春馬を後押ししようと、美怜さんは私に会いに来たんだろう。

「私、彼氏が居るんです」

美怜さんがどこまで知っているのかは分からないが、私は中村春馬と寄りを戻す事なんて出来ない。

「…そう。分かった」

残念そうな美怜さんに、ごめんなさい、と口にする。
きっと、彼氏が居るのに安易に中村春馬と体の関係を持った私に、同じ女として軽蔑しただろうな。
だからか、再び中村春馬と寄りを戻したらどうかと言われる事もなく。

「今日は急に会いに来てごめんなさいね」

話を終わらせるように、そう言われた。