「中村部長夕べ言いましたけど、私は零斗が好きなんです。
だから、邪魔しないで下さい」

「十和子。お前だって、分かってるだろ?
このまま真田と付き合ってて、上手く行くわけないって」

「そんなの分からない。
だから、零斗。
別れないから、私と中村部長との事は会社に言わないで」

そう懇願するように零斗を見ると、私と中村春馬をキツく睨み付けている零斗の目が緩んで行く。

「…いいよ。その代わり、二度ととわちゃんと中村部長はこうやって二人で会わないで。
連絡取ったりするのも禁止!」

「分かった」

「十和子!」

零斗に従う私を咎めるように、中村春馬は私の名を呼ぶけど。

きっと、これでいい。

私は零斗が好きで、中村春馬は既婚者。

零斗と元通りにはならなくても、これでいい。