「なんで昨日、LINEの返事くれなかったの?」

朝から会社近くの人通りの少ない路地で、零斗が私を待ち伏せするように立っていた。
いつもは私よりも出社時間が遅いのに、今朝は私よりも早いから、確実に私を待ち伏せている。

「いや、さっき返事したよね?」

電車の待ち時間にさっと返した。

その零斗からのLINEは、中村春馬に抱かれていた時に来ていたみたいで。
中村春馬が部屋から出て行った後、スマホを見て零斗からのLINEに気付いたけど、既読スルーにしていた。
それを今朝思い出し、電車待ちの時間に返した。

「だって、LINEしたの昨日の夜だよ?
なんで返事がさっき?」

私、問い詰められている?

「だって、零斗からのLINEに気付いたの遅かったから、もう寝てたら悪いと思って」

気付いた時は、深夜の1時だった。
そのLINE自体は23時くらいに来てたみたいだけど。
寝てたら悪いとかは嘘で、なんとなくすぐに返信する気がおこらなかった。

「遅くても、電話じゃないから返すでしょ?」

「別に大した用件じゃなかったし」

「え?今夜とわちゃんの家に泊まりに行っていい?ってのが、大した用件じゃないの?」

「だって、金曜日の夜は零斗大体うちに来てるし。
いつも前日とかにわざわざ連絡して来ないのに。
変なの」

そう口にして、おかしいと思った。
いつもと違う、その零斗の感じ。
案の定、今、零斗の表情から動揺しているのが分かる。

「え、別に変じゃないし。
いつもとわちゃんすぐにLINE返してくれるのに。
そうやって返して来ないって…。
昨日の夜、浮気でもしてたんじゃないの?」

その零斗の言葉に、まさにその通りの私なのだけど、後ろめたい気持ちになるよりも、腹が立ってしまう。
浮気しているのは、零斗の方もで。
昨日の夜だって、浮気相手の三浦さんと会ってする事したんじゃないの?
その後、そうやって私にLINEして来て…。

一体、どういう神経してるんだろうか?