〇教室
教壇に年配のロマンスグレーの男性教員がいる。切れ長な目、黒い瞳。
男性教員「今日は源氏物語をやる」
なぎさ、席についている。
なぎさ、モノローグ「今は古典の時間」
男性教員「〇〇ページを開けて」
生徒たちが教科書を開ける。
なぎさ、教科書を開ける。ノートは開いている。筆箱がある。
男性教員「いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。」(注・源氏物語・桐壺、冒頭)
男性教員「桐壺帝の後宮には数多くの女御、更衣がつかえていた、とある」
男性教員「天皇ってのは一夫多妻で、正妻以外のお嫁さんがいたんだな」
女子生徒「えー」
男性教員「いや、うらやましい限りだ」
女子生徒「えー」
女子生徒笑う。
なぎさ、笑っている。みなみ笑っている。みさき、笑っている。芽亜里、笑っている。
キンコンカンコーン、チャイムの音。
男性教員「今日の授業はこれまで」
なぎさ「はあ(溜息)」
生徒たち、教科書、ノートをしまう。
なぎさの席に、みなみ、みさき、芽亜里がいる。
なぎさ「一夫多妻かあ」
芽亜里「昔はそうだったみたいだね」
みさき「俺みたいな」
なぎさ「みさき、女じゃん」
みなみ「むしろ、なぎさじゃない」
なぎさ「えー」
みなみ「なぎさって、女子にもてんじゃん」
なぎさ「えー」
みなみ「うちらはなぎさのハーレムってか」
なぎさ「やめてよ」
〇教室
教壇に男性の若い教員がいる。生徒たちが席についている。
男性教員「ではこれでホームルーム終わり」
生徒たちが片づけに入っている。
なぎさ、バッグを机の上に置き、荷物を入れている。なぎさ、バッグのファスナーをしめる。そこへみなみ、みさき、芽亜里、やってくる。
みさき、バッグを持った手を肩にやり、バッグを背中にかけている。
みさき「じゃあ、俺、今から剣道部だから」
芽亜里「いってらっしゃい」
なぎさ「いってらっしゃい」
みなみ「いってきて」
みさき、笑う。
みさき「ああ」
みさき、教室を出ていく。
みなみ「みさき、剣道部の主将の男子の先輩にかわいがられているらしいよ」
芽亜里「ああ、二宮先輩」
なぎさ「いいなあ」
みなみ「二宮先輩好きなの?」
なぎさ「そうじゃなくて、男の子にかわいがられてて」
みなみ「なぎさは、女子にもってもてだもんね」
なぎさ「やめてよお」
芽亜里、笑う。みなみ、笑う。なぎさ、笑う。
みなみ「私たちもそろそろ行こう」
なぎさ、芽亜里「うん」
なぎさ、カバンを持つ。なぎさ、芽亜里、みなみ、教室を出る。
〇校舎3階廊下
なぎさ、みなみ、芽亜里、教室から出てくる。
〇校舎階段
なぎさ、みなみ、芽亜里、階段を降りている。
〇校舎1階廊下
なぎさ、みなみ、芽亜里、階段を降りてくる。
なぎさ「あ」
二宮大河、17歳、みさきと向かい合っている。みさきより背が高く、青いまっすぐな髪でバンダナを巻いていて、目つきが鋭い。痩せている。白い半そでシャツをズボンを入れている。
みなみ「噂をすれば」
なぎさ「二宮先輩だ」
みさき「せんぱあい」
二宮先輩「み、みさき、その髪飾りは」
みさき「あ、これ、友達にもらったんだ」
二宮先輩「かわいいじゃないか」
みさき「ええ。でもこういうの女だから女の間だけだな」
芽亜里「さすが、二宮先輩、女の子のヘアアクセに目ざとく気づくなんて」
なぎさ「でも二宮先輩って怖いよねえ」
みなみ「ねえ」
二宮先輩「どういうこと?」
みさき「ああ、俺、魔法使いに女にされてるから」
二宮先輩「えー、お前、男だったのか」
みさき「そう。男に戻ったら、こんなんできねえなあ」
二宮先輩「お、男に戻る?」
みさき「ああ、俺を女にした魔法使い見つけて、男に戻るんだ」
二宮先輩「あ、いや、戻らない方がいいぞ」
みさき「なんで」
二宮先輩「なんでって」
二宮先輩、みさきを見つめる。みさき、二宮先輩をみつめる。二宮先輩、赤くなる。
二宮先輩「落ち着け。こいつはほんとは男なんだ」
芽亜里「二宮先輩、みさきのキャラ設定、信じちゃってる」
みなみ「かわいい💛」
なぎさ「ははは」
二宮先輩「じゃあ、行くか」
みさき「はい」
二宮先輩、歩いて行く。みさき、あとをついていく。
なぎさ「ねえ、みさきって結構男子に注目されてるよねえ」
みなみ「うん」
なぎさ「私も男っぽいのになあ」
芽亜里「男っぽいの概念が違う」
なぎさ「概念って」
みなみ「うーん、なんていうか、みさきは男言葉使うし、中身は男って感じ。でもいろっぽい。なぎさは、かわいい男の子みたいな顔してて、バカっていうか」
なぎさ「え、ばかあ」
みなみ「ははは」
芽亜里「なぎさはどっちかっていうと、女の子にもてるよねえ」
なぎさ「えー、みなみだって前みさきの胸さわってたじゃん」
みなみ「ははは」
なぎさ「芽亜里もよくみさきに抱き着くよね」
芽亜里「ははは」
なぎさ「私たちも行こう」
みなみ、芽亜里「うん」
なぎさ、みなみ、芽亜里、廊下を歩いて行く。
〇玄関
なぎさ、靴箱から靴を出している。靴を置いて、はく。
なぎさ、みなみ、芽亜里、玄関を出ていく。
〇校庭
齋藤圭吾、歩いている。背が高く、こげ茶の髪、前髪の片方が長い。えりあしが少し伸びている。目は黒で大きく、切れ長。
齋藤「原宿さん」
なぎさ「先輩」
なぎさ、モノローグ「齋藤圭吾先輩。サッカー部だ。中学が一緒だった。超イケメンで、私の憧れ」
齋藤「サッカー、やめたの?」
なぎさ「え、えーっと」
齋藤「サッカーやめたのかなあ、と思って」
なぎさ「あの、部活はとりあえず、やってなくて」
齋藤「そうなんだ」
なぎさ「(頭をかいて)はは」
齋藤「じゃあ、俺、サッカーあるから」
なぎさ「は、はい」
齋藤、行こうとするが、振り返り、なぎさをみつめる。
なぎさ、モノローグ「え」
齋藤「それ、髪飾り?」
なぎさ「あ、ああこれ、グループでおそろいのヘアアクセ」
齋藤「そうなんだ、似合ってる」
なぎさ「あ、ありがとうございます」
齋藤「じゃ」
齋藤、去っていく。
みなみ「すごいイケメン」
芽亜里「ほんと」
なぎさ「中学の時の先輩。サッカー部なんだ」
みなみ「そういえば女子サッカーやってたっていってたね」
なぎさ「うん」
芽亜里「補欠だったって。だから、もうやらないって言ってたね」
なぎさ「うん」
みなみ「でもあんなかっこいい先輩いるんだから、やってたらよかったじゃん」
なぎさ「先輩は手が届かない憧れっていうかあ」
芽亜里「みさきみたいに先輩にかわいがられていたかも」
なぎさ「うーん」
教壇に年配のロマンスグレーの男性教員がいる。切れ長な目、黒い瞳。
男性教員「今日は源氏物語をやる」
なぎさ、席についている。
なぎさ、モノローグ「今は古典の時間」
男性教員「〇〇ページを開けて」
生徒たちが教科書を開ける。
なぎさ、教科書を開ける。ノートは開いている。筆箱がある。
男性教員「いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。」(注・源氏物語・桐壺、冒頭)
男性教員「桐壺帝の後宮には数多くの女御、更衣がつかえていた、とある」
男性教員「天皇ってのは一夫多妻で、正妻以外のお嫁さんがいたんだな」
女子生徒「えー」
男性教員「いや、うらやましい限りだ」
女子生徒「えー」
女子生徒笑う。
なぎさ、笑っている。みなみ笑っている。みさき、笑っている。芽亜里、笑っている。
キンコンカンコーン、チャイムの音。
男性教員「今日の授業はこれまで」
なぎさ「はあ(溜息)」
生徒たち、教科書、ノートをしまう。
なぎさの席に、みなみ、みさき、芽亜里がいる。
なぎさ「一夫多妻かあ」
芽亜里「昔はそうだったみたいだね」
みさき「俺みたいな」
なぎさ「みさき、女じゃん」
みなみ「むしろ、なぎさじゃない」
なぎさ「えー」
みなみ「なぎさって、女子にもてんじゃん」
なぎさ「えー」
みなみ「うちらはなぎさのハーレムってか」
なぎさ「やめてよ」
〇教室
教壇に男性の若い教員がいる。生徒たちが席についている。
男性教員「ではこれでホームルーム終わり」
生徒たちが片づけに入っている。
なぎさ、バッグを机の上に置き、荷物を入れている。なぎさ、バッグのファスナーをしめる。そこへみなみ、みさき、芽亜里、やってくる。
みさき、バッグを持った手を肩にやり、バッグを背中にかけている。
みさき「じゃあ、俺、今から剣道部だから」
芽亜里「いってらっしゃい」
なぎさ「いってらっしゃい」
みなみ「いってきて」
みさき、笑う。
みさき「ああ」
みさき、教室を出ていく。
みなみ「みさき、剣道部の主将の男子の先輩にかわいがられているらしいよ」
芽亜里「ああ、二宮先輩」
なぎさ「いいなあ」
みなみ「二宮先輩好きなの?」
なぎさ「そうじゃなくて、男の子にかわいがられてて」
みなみ「なぎさは、女子にもってもてだもんね」
なぎさ「やめてよお」
芽亜里、笑う。みなみ、笑う。なぎさ、笑う。
みなみ「私たちもそろそろ行こう」
なぎさ、芽亜里「うん」
なぎさ、カバンを持つ。なぎさ、芽亜里、みなみ、教室を出る。
〇校舎3階廊下
なぎさ、みなみ、芽亜里、教室から出てくる。
〇校舎階段
なぎさ、みなみ、芽亜里、階段を降りている。
〇校舎1階廊下
なぎさ、みなみ、芽亜里、階段を降りてくる。
なぎさ「あ」
二宮大河、17歳、みさきと向かい合っている。みさきより背が高く、青いまっすぐな髪でバンダナを巻いていて、目つきが鋭い。痩せている。白い半そでシャツをズボンを入れている。
みなみ「噂をすれば」
なぎさ「二宮先輩だ」
みさき「せんぱあい」
二宮先輩「み、みさき、その髪飾りは」
みさき「あ、これ、友達にもらったんだ」
二宮先輩「かわいいじゃないか」
みさき「ええ。でもこういうの女だから女の間だけだな」
芽亜里「さすが、二宮先輩、女の子のヘアアクセに目ざとく気づくなんて」
なぎさ「でも二宮先輩って怖いよねえ」
みなみ「ねえ」
二宮先輩「どういうこと?」
みさき「ああ、俺、魔法使いに女にされてるから」
二宮先輩「えー、お前、男だったのか」
みさき「そう。男に戻ったら、こんなんできねえなあ」
二宮先輩「お、男に戻る?」
みさき「ああ、俺を女にした魔法使い見つけて、男に戻るんだ」
二宮先輩「あ、いや、戻らない方がいいぞ」
みさき「なんで」
二宮先輩「なんでって」
二宮先輩、みさきを見つめる。みさき、二宮先輩をみつめる。二宮先輩、赤くなる。
二宮先輩「落ち着け。こいつはほんとは男なんだ」
芽亜里「二宮先輩、みさきのキャラ設定、信じちゃってる」
みなみ「かわいい💛」
なぎさ「ははは」
二宮先輩「じゃあ、行くか」
みさき「はい」
二宮先輩、歩いて行く。みさき、あとをついていく。
なぎさ「ねえ、みさきって結構男子に注目されてるよねえ」
みなみ「うん」
なぎさ「私も男っぽいのになあ」
芽亜里「男っぽいの概念が違う」
なぎさ「概念って」
みなみ「うーん、なんていうか、みさきは男言葉使うし、中身は男って感じ。でもいろっぽい。なぎさは、かわいい男の子みたいな顔してて、バカっていうか」
なぎさ「え、ばかあ」
みなみ「ははは」
芽亜里「なぎさはどっちかっていうと、女の子にもてるよねえ」
なぎさ「えー、みなみだって前みさきの胸さわってたじゃん」
みなみ「ははは」
なぎさ「芽亜里もよくみさきに抱き着くよね」
芽亜里「ははは」
なぎさ「私たちも行こう」
みなみ、芽亜里「うん」
なぎさ、みなみ、芽亜里、廊下を歩いて行く。
〇玄関
なぎさ、靴箱から靴を出している。靴を置いて、はく。
なぎさ、みなみ、芽亜里、玄関を出ていく。
〇校庭
齋藤圭吾、歩いている。背が高く、こげ茶の髪、前髪の片方が長い。えりあしが少し伸びている。目は黒で大きく、切れ長。
齋藤「原宿さん」
なぎさ「先輩」
なぎさ、モノローグ「齋藤圭吾先輩。サッカー部だ。中学が一緒だった。超イケメンで、私の憧れ」
齋藤「サッカー、やめたの?」
なぎさ「え、えーっと」
齋藤「サッカーやめたのかなあ、と思って」
なぎさ「あの、部活はとりあえず、やってなくて」
齋藤「そうなんだ」
なぎさ「(頭をかいて)はは」
齋藤「じゃあ、俺、サッカーあるから」
なぎさ「は、はい」
齋藤、行こうとするが、振り返り、なぎさをみつめる。
なぎさ、モノローグ「え」
齋藤「それ、髪飾り?」
なぎさ「あ、ああこれ、グループでおそろいのヘアアクセ」
齋藤「そうなんだ、似合ってる」
なぎさ「あ、ありがとうございます」
齋藤「じゃ」
齋藤、去っていく。
みなみ「すごいイケメン」
芽亜里「ほんと」
なぎさ「中学の時の先輩。サッカー部なんだ」
みなみ「そういえば女子サッカーやってたっていってたね」
なぎさ「うん」
芽亜里「補欠だったって。だから、もうやらないって言ってたね」
なぎさ「うん」
みなみ「でもあんなかっこいい先輩いるんだから、やってたらよかったじゃん」
なぎさ「先輩は手が届かない憧れっていうかあ」
芽亜里「みさきみたいに先輩にかわいがられていたかも」
なぎさ「うーん」


