〇原宿家・リビング
なぎさ「ごちそうさまあ」
  なぎさ、リビングを出る。

〇同・二階・なぎさの部屋。
  なぎさ、半袖セーラー服姿。黒いハイカット丈靴下をはいている。腕時計をしている。なぎさ、紺のスクールバッグを持つ。ドアを開ける。がちゃ。
  
〇同・廊下
  なぎさが出てくる。なぎさ、廊下を歩き、階段を降りる。前方から階段を降りるなぎさの映像。

〇同・玄関
  右に靴箱がある。
  なぎさ、ローファーを履いている。
なぎさ「(元気よく)じゃあ、行ってきまあす」
  なぎさ、がちゃっと戸を開ける。

〇原宿家・外
  なぎさ、手をかざして太陽を見ている。天気は晴れている。
なぎさ「今日もいい天気」
なぎさ、モノローグ「私は近所の高校、風早高校に通っている」
なぎさ、モノローグ「私は歩いて通学している」
  なぎさ、歩き出す。

〇風早高校正門前
  風早高等学校と彫られた門。
  生徒たちが登校している。みんな、夏服である。なぎさが歩いている。
 渋谷みさきが歩いている。銀髪のストレートセミロング。右が黄色い目、左が赤い目。カバンを持った手を肩にやり、カバンを背中にかけている。半袖セーラー服。
みさき「なぎさ、おはよう」
なぎさ、モノローグ「渋谷みさき、私の友達。私に輪をかけて男の子っぽい」
なぎさ「おはよう」
  なぎさ、みさき、二人並ぶ。
  「風早高等学校」と書かれた正門をくぐる。
  竹下みなみがいる。背が高い。肌が小麦色。茶髪のストレートロング。狐目。半袖セーラー服。がちゃがちゃで買ったようなアクセがたくさんついているバッグを肩にかけている。ルーズソックスをはいている。
みなみ「おはよう」
なぎさ、みさき「おはよう」
なぎさ、モノローグ「竹下みなみ、私の友達。背が高くて、ファッション誌と、占い、女の子が大好き」
  伊集院芽亜里(いじゅういんめあり)がいる。金髪(ブロンド)、大きい目蒼(あお)い瞳。背が低い。半袖セーラ服。髪にピンクの櫛の形をしたヘアアクセ。
芽亜里「おはよう」
なぎさ、みさき、みなみ「おはよう」
なぎさ、モノローグ「伊集院芽亜里、私の友達。お金持ちのお嬢さん」
  四人仲良く歩いている。
なぎさ、モノローグ「みさき、みなみ、芽亜里、そして私は仲良し4人組」

〇校舎3階・教室
  なぎさの席にみさき、みなみ、芽亜里がいる。
芽亜里「あ、そうそう。かわいい雑貨屋で見つけたヘアアクセ、みんなの分、買ってきたよ」
  芽亜里、小物入れから、三つのピンク色の櫛の形をしたヘアアクセを出す。
なぎさ「あ、ありがとう。今、お金払うから」
芽亜里「いいよ」
なぎさ「でもお」
芽亜里「どうせ親の金だから」
なぎさ「・・・・・・」
芽亜里「みんな、遠慮なくもらってほしい」
なぎさ、みさき、みなみ「う、うん」
  そこへ茶髪巻き髪の背の高い女子が来る。八鍬(やくわ)さき。半袖セーラー服。髪を茶髪にそめている。さき、なぎさを見る。
さき「何それ、かわいいじゃん」
なぎさ「え」
さき「どこで買ってきたの?」
なぎさ「ごめん、これ、うちらでお揃いにしようって買ってきたから、ほかの人には言えないんだ」
さき「けち」
なぎさ「え」
さき「あんたら、変だよ。おたく入ってるし」
なぎさ「ちょっと、そんな言い方ないんじゃない。これ、うちらでお揃いにするから言えない、仕方ないじゃん」
  さき、見下すような目で見て、自分のグループへ行く。
なぎさ「あのグループ、なんか感じ悪いよねえ」
みなみ「怖いよねえ」
芽亜里「ギャルだよねえ」
みさき「あんなの気にしない」
なぎさ「そうだね」
芽亜里「それより、ヘアアクセ、みんなつけようよ」
なぎさ「あ、そうだった」
  なぎさ、みなみ、みさき笑いながら、櫛の形のヘアアクセをつける。みんなで見せ合う。みんな、手鏡を出して、自分を見る。
みなみ「そういえば、スサノオがヤマタノオロチを退治するとき、櫛稲田姫(クシナダヒメ)を櫛に変えて、髪に刺したんだったよね」
なぎさ、モノローグ「この前古典でそう習ったのだ」
芽亜里「スサノオって荒々しいイメージあるけど、実はオトメンなんじゃあ」
  一同笑う。
なぎさ「それ、ありうる」
みなみ「櫛稲田姫ってどんな女性だろう」
芽亜里「きっと昔の女の人だから古風な人だよ」
なぎさ「そうだろうなあ」
  男子のグループがいる。
男子A「なあ、異世界転生ゴブリンゼロ見た」
男子B「見た見た」
  なぎさ、男子のグループを見る。
なぎさ、モノローグ「「異世界転生ゴブリンゼロ」というのはアニメだ。主人公が異世界でゴブリンというゲームのキャラクターに転生するというもの。私も見たことある」
なぎさ「ねえ、男子たちの間で異世界転生もの流行ってるよねえ」
芽亜里「ああ、異世界に勇者と召喚されて魔王を退治したり、はたまた魔王と召喚されたりとか」
なぎさ「あるある」
みさき「俺は、異世界転生したら、男になりたいなあ」
なぎさ「みさき、いつも男になりたいっていってるもんね」
芽亜里「みさきは、踊り子がいいよ」
みさき「なんで」
芽亜里「なんでって」
  芽亜里、みさきを眺めまわす。
芽亜里「私は剣士になりたい」
みさき「ええ」
みなみ「私は占い師」
なぎさ「あははは、そのまま」
なぎさ「私は王子様の花嫁になりたいなあ」
みなみ「何それ」
  一同笑う。
なぎさ「でもお、ほんとに異世界に召喚されたら、みんなどうなるんだろう」
みさき「ほんとだよなあ」
みなみ「ほんとに異世界に召喚されたらさあ」
なぎさ「え」
  みさき、みなみを見る。
  芽亜里、みなみを見る。
  なぎさ、つばを飲み込む。
  一同息をのむ。
  みなみ、真剣な顔つき。
みなみ「明日から学校いかなくていいんじゃね」
  一同笑う。
なぎさ「何それ」
芽亜里「でも学校こなかったら、こうして4人で会えいないね」
なぎさ「あ」 
なぎさ、モノローグ「本当に異世界に召喚されたら、どうなるんだろう」
なぎさ、モノローグ「こうして学校に通ってみんなと会ったりできなくなるんだろうか」
なぎさ、モノローグ「それは、嫌だ」
なぎさ、モノローグ「今日の授業が楽しみだ」