こんな仕打ちが待っているなら、帷くんのことを好きになるんじゃなかった。
良い人だって、信用するんじゃなかった。
心臓に、ナイフでえぐられたような激痛が走る。
唇を強く噛んでも噛んでも、心の痛みはごまかせない。
大粒の涙がボロボロ流れて。
これでもかっていうほど溢れてきて。
涙をせき止める気力すら、湧き出てこない。
窓際に立つ帷くんが、苦しそうな顔で何かを言いたそうにしているけれど。
口を開けては閉じ、何か話そうとしては諦めてを繰り返している。
私は怒りを帯びた目を帷くんに突き刺すと、涙交じりの声を吐き出した。
「もう私に……関わらないでください……」
涙を飛ばしながら、床に置いてある段ボールを開ける。
予備用の衣装を何セットか掴み、ボンボンも抱きかかえ。
私は帷くんと縁を切るように、多目的室から逃げ出した。