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今日の夜はお兄ちゃんと一緒に過ごせる日だ。
夜に一緒に過ごせるのは久しぶりだったから、夕飯は何を作ろうか、とても悩む。
悩んだ結果、お兄ちゃんが大好きな唐揚げを作ることにした。


週に一度過ごせるお兄ちゃんとの時間は、私にとって大切な日。

私が学校から帰ってくると、お兄ちゃんはゲームをしていた。
今日は授業もなかったみたい。


「俺も夕飯作るの手伝うよ」

お兄ちゃんからの提案は嬉しかったけど、たまにしかない休みだから、ゆっくり過ごしてほしい。

「今日は一人で作りたいから、お兄ちゃんはあっち行ってて!」
素直になれない私は、ぶっきらぼうにそう言った。

「なんだよー反抗期かー?」
お兄ちゃんはブツブツ言いながら寝室に戻って行った。





夕飯の唐揚げは大成功。
お兄ちゃんはとても喜んでくれた。
夕飯を食べたら、すぐにお風呂に入る。
お兄ちゃんは長風呂が好きで、お風呂の中で本を読む。
お風呂から出てくるのが遅いから、私はその間、勉強をして待っていた。



「おまたせ」

1時間ほど経ってから、お兄ちゃんは顔を真っ赤にしてお風呂から出てきた。
「あちー」と言いながら私が寝転んでいるベットに入ってくる。
今日のお兄ちゃんは、石鹸とシャンプーと、香水を付けていないそのままのお兄ちゃんの匂いがした。




お兄ちゃんと一緒に動画を見たりアニメを見ていると、あっという間に真夜中だ。


「休みの日は時間が過ぎるのが早いな」

明日から、またお兄ちゃんは忙しくて、こんな風に同じ時間を過ごせないんだ、と思うと寂しくなる。

「なに?寂しくなっちゃった?」

思っていたことが顔に出てしまっていたのか、お兄ちゃんは、からかうように私の顔を覗き込む。

「寂しく…ないもん」
私がそう言うと、お兄ちゃんは私の手をぎゅっと握って、頭を撫でた。
心臓の音がドクドクうるさい。

「もう、子ども扱いしないでっ」

「ごめんごめん。寂しそうな顔するから」

お兄ちゃんに手を握ってもらって
頭を撫でてもらって
本当は嬉しかった。
でも、素直になれない。

お兄ちゃんと一緒にいると、ドキドキしてしまう。
お兄ちゃんと一緒にいると、離れたくなくなってしまう。
お兄ちゃんと一緒にいると、お兄ちゃんを誰にも取られたくないと思ってしまう。





最近の私は、なにか変だ。