誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

「北條さん、お薬飲めますか?」
体を起こすのをお手伝いしようと近付く。

「俺のことはいいから、早く帰りな。」

北條から先程とは打って変わって、一線引かれた気がして、心菜の心がピシッと固まる。

あっ……

訳もなく泣きたい気持ちになる。
先に、一線引いたのは私なのに…。

あくまで北條は患者で心菜は看護師だ。
プライベートまで関わるべきでは無い。

正直、看護師になって患者とどこまで関わるべきか、分からなくなる時がある。
元々お世話好きな心菜だから、どこまでも患者に尽くしたくなってしまう。

だけどそれではいけないのだと看護師長に言われている。

患者は他にもいるのだから、出来るだけ平等に接しなくてはいけないし、何より自分の本来やるべき仕事が、疎かになったらいけないのだ。

「…分かりました。
痛いようなら直ぐに痛み止め飲んで下さい。
手の届く場所に置いておきますね。
マネージャーの方も会計が済み次第こちらに来られると思いますので…
では、これで失礼します。」

心がチクチクと針を刺すように痛むけど、まだやらなければいけない仕事が残っている。

心菜は、後ろ髪を引かれる思いで病室を後にした。