誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

ちょ、ちょっと待って?
そう言えば、この人右足骨折したばっかだよ!?

8メートルから落ちてあちこち重症だった人だよ!?

こんなに走って大丈夫!?

「ちょ、ちょっと…ちょっと、待って、
ちょっと待って下さい。…蓮さん!」

もう、どの道をどんな風に走って来たか分からないけど、人気の少ない公園に入る。

心菜は、はぁはぁと息が切れてなかなか話し出せないでいる。

さすがの蓮も両手を両膝につき、はぁはぁと肩を揺らす。

「ここまで来れば…大丈夫だろ。」
そう言って、蓮は近くのベンチに座る。

先程から握り続けている心菜の手を、引っ張り隣に座らせる。

白いTシャツの上に紺の薄手のテーラードジャケットを羽織り、長い足はジーンズを履いている。

私服なんだ、と心菜は思うとファン心理でドキドキしてしまう。

「…ごめん。急に走らせて…
出待ちに気付かれると大変だったから、
ついでにマネージャーも巻きたかった。」

そう静かに言って、蓮はキャップを取って心菜に向かってパタパタと扇ぐ。

「いえ…よく私の事、気付きましたね…。」
息を整えながら心菜が言う。

やっとここで、2人目線を合わせる。
フフフッとお互い見つめ合って、何故だか分からないが笑い合う。

「蓮さん…汗が…。」
心菜はそう思い、背中に背負ったリュックからタオルハンカチを取り出そうとする。

あれっと思って、右手の手首を見るとまだ蓮の手に掴まれていた。

蓮がパッと手を離し、ごめんと小さく言う。

「い、いえ大丈夫です。」
心菜は何故だか恥ずかしくて、ドギマギしながらリュックからタオルハンカチを出し、蓮に差し出す。

えっ?と言う顔で心菜を見るから、

「汗、拭いて下さい。」
と、そっと蓮の額をそのタオルでポンポンと拭く。

「ああ、ありがとう…。」
そのタオルを受け取り、蓮も自分で汗を拭く。

少し戸惑う蓮を新鮮に思いながら、先程まで観ていたテレビを思い出す。