誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)


(心菜side)

一方、心菜は今日、6日振りの連休で朝から家の片付けと、買い出しに明け暮れていた。
平日はどうしたって忙しく、自炊もままならないので休日に作り置きをせっせと作る。

肉じゃがにきんぴらに、煮物にお浸し、カレーにロールキャベツに…いろいろ作り出すと楽しくなって止まらなくなってしまう。

ちょっと作り過ぎたから、おじいちゃんとお兄ちゃんにも食べてもらうかな。

実家は三駅ほど先の下町にある。
行けない距離でも無いし、久しぶりに顔を出しに帰ろうと思い立ち、兄に電話をしてみる事にする。

「お兄ちゃん、今日お休みだから惣菜持ってそっちに行こうと思うんだけどいる?」

『おー久しぶりだな。
あぁーでも俺、彼女と夕飯の約束してるから、爺さんに持ってってやって喜ぶから。』

「うん。そうする。
私、鍵持って無いからおじいちゃんに伝えておいてね。」

『分かったよ。ありがとうな。』

「お兄ちゃんも、もう良い歳なんだから早く結婚すれば良いのに…。」

彼女さんとはもう3年くらいの付き合いになる筈だ。

『まぁーな、そろそろだとは思うけど…いろいろあるんだよ。
心菜こそ、仕事もいいけど彼氏の1人くらい作れよ。あっという間に年食って行き遅れるぞー。』

「お兄ちゃんには言われたく無い。
じゃあね、仕事頑張ってね。」

兄は地元で祖父と暮らしながら、商社マンとして地道に働いている。

きっとなかなか結婚しないのは、祖父の事を思ってのせいだろう。

祖父は下町で自転車屋を開業しながら、身寄りの無くなった私達2人を育ててくれた。
祖母は早くに亡くなっていたから、男手1人に子供2人の世話は大変だっただろうと慮る。

下町特有の周り近所の助けも借りて、どうにかなったのだと笑って言う祖父は、2年前にお店をたたみ今は年金生活を楽しんでいる。

就職してから何かと忙しく、行くのは3ヶ月振りになるだろうか。

もっと、祖父孝行をしたいと思うのだけど…
現実的に難しい。