次の日、目を真っ赤にして心菜が蓮の病室を訪れる。

「全部聴きました。蓮さんの歌。
とても良かったです。感動しました。」
そう言って、目をキラキラさせてくるから
蓮は少し戸惑い、

「とりあえず…寝たら?」
と、あえて素っ気なく答える。

「寝てなんていられませんよ。仕事をしに来てるんですから。」
そう心菜は言って、いつもの検温と血圧を測る。

「自分の血圧測った方が良い。」

蓮はそう言って、心菜の手を取り見様見真似で血圧計を装着させる。

「違います。ここ、大切なんです。」
と、何故だか心菜も手助けする。

「血圧高くないか?」

「本当だ…。」
心菜は計測値が蓮より高い事に驚く。

「今すぐ寝ろ。それが心菜の今日の仕事だ。仕事中が嫌なら有休使え。」

戸惑う心菜を諸共せず、蓮はそう強引に決めてどこかに内線する。

「すいません。田中看護師長いますか?
渡瀬心菜ですが、患者の俺から診ても体調不良です。今日は帰らせますので休ませて下さい。」

何やら勝手に休みに決めて心菜を驚かせる。

「えっ…蓮さん。勝手に決めないで…。」
せっかく来たのに寝不足ぐらいで休んでなんていられない。

内線を切って蓮は、
「有休くれるって、とりあえずそこで寝とけ。」
そう言って、サッサとソファをリクライニングさせてベッドにしてしまう。

「えっ⁉︎ここで寝るんですか?
それだったら家に帰ります…。」

「せっかく来たのに勿体無いだろ。ここで十分だ。」
蓮に半ば強引に寝かされて、布団までかけられる。

「はい、おやすみ。昼には起こしてやる。」
そう言って、布団をぽんっと叩く。