誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

バスに飛び乗り空港へと向かう。

今夜の蓮さんが出る音楽番組を、空港ロビーで観たいと思って早めに部屋を出て来た。

蓮さんの新曲を最後に聴きたい。

それだけが今の私にとって、小さな希望であって、足を進める事が出来る動機にもなってくれた。

きっと、勝手に出て行ってしまった私の事なんて、怒って、嫌って、2度と会いたく無いって思うかもしれない。

それで良い。
それで蓮さんが私なんて忘れて、前に進む事ができるのなら…

心菜はそう思ってギュッと唇を噛み締める。

涙が溢れそうになって、バスの車窓から慌てて夜空を見上げる。

こんな夜なのに、
空には星が瞬いて、月は弧を描いた綺麗な三日月だったから、少しだけ気持ちが落ち着いて、私は涙を止める事が出来た。