誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

最後の日、
2人で並んで朝食を食べ、いつものように私は先に仕事に出かける。

もう、色々と思い悩むのを辞めようとひたすら無心で仕事に没頭した。

今日でこの病院で働くのは最後だと、実感が無いまま慌ただしく時間だけが過ぎて行く。

忙しい合間を縫って、私は今日で一旦最後だと田中師長からみんなに話しが伝わる。

事前に話してあったのはお世話になった高山先輩だけだったから、みんな驚き口々に励ましの言葉をもらう。

「ありがとうございます。とりあえず3ヶ月間頑張って来たいと思います。」

「えっ?心菜ちゃん3ヶ月経ったら戻って来るんだよね?」

山田先生がひたすら聞いて来るから、そのつもりでいます。と、曖昧な返事で留まる。

「何かあったら直ぐ連絡しておいで。
話を聞くぐらいしか出来ないけど、誰かに聞いてもらうだけで気持ちが楽になる事だってあるんだから。」

山田先生はそう言ってプライベートの連絡先を教えてくれた。

先の事は分からないけど…この病院に帰って来る事は難しいとは思う。

優しい人ばかりで心が痛い。
弱い自分は誰かに寄りかかってしまいそうで、1人で立てなくなってしまいそうで怖い。

それに…この病院には蓮さんとの思い出が多過ぎる。

いつまでも未練がましく縛りついていてはダメだと思う。

1人で歩まなくてはいけない、この先の未来をお腹の子と共に生きていく。

大丈夫…この子がいれば1人じゃない。

蓮さんがくれた大切な宝物。
そう思うだけで、愛しくて愛しくて心が強くなる。