誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

仕事終わりに実家に寄って祖父と少し話をする。充実した毎日を送っているようで安心した。

おじいちゃんごめんね。お兄ちゃん…おじいちゃんをよろしくお願いします。心でそう願いながら私は実家を後にした。

何も言わずに居なくなる事に、後ろめたさを感じてしまっている。

でも…兄に話したらきっと蓮さんに直ぐ伝えてしまうだろう。
向こうへ行ったら手紙を書こう。

後、6日しか無い。

彼にどう伝えるか…それが1番の難問だった。電車に揺られながら考える。

やっぱり、面と向かっては話せる訳が無い。彼と今、目を合わせたら決心が揺らいでしまう。
一方的だけど…手紙を書いて置いて行こう。


後、6日、後…3日…。

日が経つ事に、どうしたって後ろめたさと心苦しさで、心菜の気持ちはどんどん沈んでいく。

今週は丁度良い事に、彼のアルバムリリースが近付いている為、帰りが遅くすれ違いの日々だった。

そんな忙しい中でも、彼は私の体調を心配してメールや電話を必ずくれた。
 

日本を経つ最後の夜。
夜中に目を覚ますといつ帰って来たのか彼に抱きしめられるように寝ていた。

ひとしきりその温もりを堪能する。
起こさないようにそっと綺麗な寝顔を眺めて、これで最後なんだ…と涙が溢れる。

泣いちゃダメ。ちゃんと笑顔でお別れしなきゃ。自分にそう言い聞かせる。