誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

そう思うと、慌てて体を拭いて服を着替え、濡れた髪を乾かすのもそこそこにニット帽を被り玄関を飛び出す。

近くのドラッグストアまで自転車で走る。

棚に妊娠検査薬を見つけて、買う時にはさすがに手が震えた。

息を切らせながら家に辿り着く。

玄関に綺麗に揃えられた大きな黒い靴を見つけ、蓮さんが帰っている事に気付く。

悟られてはいけないと、玄関で深呼吸して息を整える。

すると、リビングからバタバタと慌てた足音が聞こえ、振り向くと同時にぎゅっと抱きしめられていた。

「スマホも持たずに居なくなるな。心配した…。」
はぁーと深いため息を落とすのは、紛れもなく蓮さんだった。

「ごめんなさい……
ちょっと…買い忘れたのに気付いて…慌てちゃって…。」
抱き締めれながら、私は曖昧に言葉を取り繕う。

両頬をぎゅっと大きな手で挟まれて、強引に上を向かされる。

蓮さんと目が合い、真剣な眼差しに私は怖気付き目が泳ぐ。

額をコツンと合わせられ、
「…良かった無事で…。」
と、ため息と共に彼が安堵した表情を向けてくる。

「ごめんなさい。…お帰り。」
そっと、伺うように目線を合わせる。

暖かな唇が降り注ぎ、少し長いキスが落とされる。

「…冷たい。髪も、頬も…。」
心配顔の彼に促されて洗面所に半ば強引に押し込められる。

「あっ…すき焼き温め直さないと…。」
私は慌ててそう言うが、

「俺かやる。心菜は風呂に浸かって温まれ。」
そう言って、彼は洗面所を出て行ってしまった。