後片付けも全て蓮さんがやってくれて、私は先にお風呂に入ってのんびりと仕事の疲れを取る。

至れり尽くせりとはこう言う事を言うんだろうな。こんなに幸せでバチが当たりそう。

足も手も伸ばせるほどのバスタブで夜景を楽しみながら幸せに浸かっていると、ガラガラっとお風呂場のドアが開く。

「きゃあ!?」
慌ててバスタブに潜るけど、入って来るのは蓮さんしかいない。

そんなに驚かなくてもいいだろ。と、怪訝な顔で当たり前の如く入って来る。

その均整の取れた見事な肉体美を惜しげも無く晒してくるから、こっちとしては心拍数が急上昇して本当に困るのに。

「勝手に入って来るの禁止!」
私はというと、慌てふためき身体を隠しながら後ろを向く。

「こうでもしないと、絶対一緒に入れないだろ。頭とか洗えるのか?指まだ痛いだろ。」
介助の為に来たんだと言いたげだ。

「大丈夫…洗えるから。」
強がりを言って、窓からの夜景に目を移す。
どうしよう。

これはどうやって逃げようか…頭の中はパニック寸前だ。バスタブの隅に逃げながら彼の隙を探る。

蓮さんはゴシゴシと自分の身体を洗いながら、そんな私を楽しそうに見ている。
本当にこう言う時の彼は楽しそうだ。

きっと私を困らせて意地悪するのが趣味なんだ。

「心菜、洗うからこっちに来て。」

優しいのか意地悪なんだか分からない顔でそう言われ、少しの抵抗を見せ睨むけど…まったくと言って良いほど効果は無く、彼の思うがままに丁寧にどこもかしこも洗われる。

結局その後も翻弄されて、彼の大きな波にさらわれてのまれて泳がされて、気付けばベッドの上。


明日は…
そうお休みだから良かった
…微睡の中でそう思いながら…

蓮さんはもはや確信犯だなと疑う余地も無く、甘い幸せに浸りながら気怠い身体を持て余しつつ眠りに着く。