誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

心菜に会ってから自分でも分かるほど笑う事が増えた。

それは彼女の持っている空気感のお陰なのだと今は確信している。

この時間がずっと続けばいいのにと思うほど、心穏やかな時間を得られる。

この頃の蓮は、心菜を定時で返さなければいけないと思うのに、もう少し、もう少しと時間を長引かせたくなってしまう。

階段を一歩ずつ慎重に登りながら何とか屋上にたどり着いた。

「階段がこんなにも大変だとは思ってもみなかった。」

体力には自信がある方だったから、この2週間ほどでこんなにも衰えてしまったのかと情けなく思う。

「仕方ないですよ。
むしろ8メートルの高さから落ちて、2週間でここまでに回復するなんて脅威です。
凄い事なんですから、作業療法士さんが褒めてましたよ。」

作業療法士と言えば…
やたら心菜の事を褒めていたなと、蓮は思い出す。

しかも、ここちゃんと心菜の事を馴れ馴れしく呼んでいたのが気に食わなくて、面白く無く思っていたのだ。

「作業療法士とは知り合いなのか?」
だからか、どうしても少しイラついた声になってしまう。

「高橋さんの事ですか?
知り合いと言うか、ここの病院の院長先生の息子さんです。
お兄様はお医者さんで、弟さんは作業療法士さんなんです。」

そう言う事が聞きたい訳じゃ無い。と、蓮は苛立ちを抑え切れなくなり、

「…仲がいいのか?」
若干低い声になったのは否めない。