誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

「聞いたら心菜、絶対ダメって言うだろ。言われたら一生一緒に入れそうもないから、強行突破したんだ。」

蓮はそっと心菜に近付き、背後からぎゅっと抱き寄せ膝に横抱きで乗せる。

「ひゃっ!」
急接近して、びっくりして心臓が飛び跳ねる。

慌てて離れようとするけれど力で蓮には敵わない。

「蓮さん…。」
困り顔で蓮に訴える。

「夕飯もすぐ来るし何もしない。ただ、触れ合いたいだけだ。」

ぎゅっと抱きしめられ、心菜の心臓はドキンドキンと高鳴るけれど、それもしばらくすると肌と肌が触れ合う事に心地良く感じられて、落ち着いてくる。

そして蓮が静かに話し出す。

「俺の家族の事だけど、ちょっと特殊な家でいろいろ面倒な所があるんだ。」

初めて蓮が自分の家の事を話し出すから、心菜は息を飲んで静かに聞く。

「子供の頃からずっと親の引いたレールを走って来たけど、歌手になる事で逃げ出したんだ。
それから一度も家族とは会っていない。だけど、そろそろ決着を付けたいと思っている。」

「話し合って、仲直りする事は無理なの?」

家族は本来助け合うべき存在だと思う心菜は、出来れば仲良くして貰いたいと思う。

「あの父親と和解は無理だな。あの人は俺を1つの駒としか見ていない。
対等に話し合う事なんて不可能だ。
自分の思い通りにいかない息子は要らないんだ。」

「蓮さんが…傷付かないといいけど…。」

悲しい選択をしざる負えない蓮の心が心配になる。

「俺が1番恐れているのは、心菜に火の粉が飛ぶかも知れないと言う事だ。
誰よりも大事だから、俺のせいで傷つけられたく無い。

だから…一緒に住まないか?
今のマンションからは出るつもりだ。
心菜がオッケーしてくれたら、直ぐにでも病院の近くに引越そうと思っている。」

心菜は蓮を見つめる。
蓮の目は真剣だ。揺るがない意志と前に進もうとする決意が伝わる。