誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

終始ニコニコと楽しく2人の時間を満喫した。

夕方、日が暮れて蓮は宿へと海岸線を車を走らせる。

心菜は海に目を向けて、夕焼けから徐々に薄暗くなって行く景色を眺めて、ドライブを楽しんでいた。

「私、この景色、一生忘れないと思う。」

なにより、この綺麗な景色を1番一緒にいたい人と分かち合える幸せ。

運転している蓮をカシャッと撮って心菜が言う。

「あっ…ずるい。俺だって心菜を撮りたいと思ってた。」
先を越されて蓮は不服そうだ。

ひらけた所で車を路肩にわざわざ停めて、心菜を写真に納める。満足そうに写真を見返して、一緒に撮るかと蓮が言う。

車を降りて助手席に回ってわざわざドアを開けてくれる。

「ありがとう。」

1日一緒にいると、蓮のそういう紳士的な振る舞いや、ハンバーガーを食べる時でさえ、見入ってしまうほどの綺麗な所作に、驚きながらも、これが蓮の自然体なんだと妙に納得する。

子供の頃からの教養がきっとそうさせるのだろうと思う。

蓮さんって一体何者?

「寒く無いか?」
後部座席からコートを出して心菜に羽織らせてくれる。

「ありがとう、蓮さんって、いつも優しいね。」
聞きたい事は沢山あるけど、その一言でとどまる。

「こんなの当たり前だろ?心菜が俺のせいで風邪でも引いたら大変だからな。」
そう言って、海風を遮るように風上に立って自分のコートの中に、心菜を包むように後ろから抱きしめる。

暖かい。
心菜は心も身体もぽかぽかになって今日1番の笑顔になる。

景色と共に蓮と一緒に写真を撮る。

「幸せって言うのがこういう事なんだろうな。」
蓮が心菜を抱きしめながらそう呟く。

心菜は蓮の腕の中、くるりと向き合うように向きを変え抱き付く。

「蓮さん、今日は連れて来てくれてありがとう。私も凄く幸せ。」

蓮はそんな心菜の事をぎゅっと抱きしめ返してくれる。
「こんなんじゃ、まだまだ足りない。
俺はもっと心菜と一緒に幸せになりたいと思ってる。出来れば一生ずっと…。」

一生ずっと…蓮さんと居られる未来があるのなら嬉しいな。
心菜もそう思うけど、とても口には出来ない。

そう思う度に、永遠なんかないんじゃ無いかと思う、襲いかかる得体の知れない不安感。