誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

今日の蓮は、黒のニットに紺のダッフルコートを着てベージュのチノパンを履いている。

普段の大人かっこいい感じより、何処となくラフでプライベート感が出ている。
前髪をサラッと下ろしているから大学生だと言っても分からないくらいだ。

「今日の蓮さん、雰囲気違って可愛い。」
心菜が嬉しそうにそう言うから、

「はっ?…可愛い⁉︎…初めて言われたんだが…。」
 
日頃から普通にいるだけで怖いと言われる蓮だから、まさかの可愛い発言に内心驚く。

「お腹空いたね。朝ご飯どうする?」
敬語が抜けた心菜の方が断然可愛いと蓮は思う。

「高速入ったらパーキングエリアで何か買うか?パン屋が入ってたはずだ。」

「じゃあ、そこまで我慢する。」
心菜は窓の外に目を向け、流れる景色楽しんでいる。

「私も免許取ろうかなぁ。」

そう呟くから、慌てて蓮は言う。
「心菜は運転なんかしなくていい。ハラハラし過ぎて俺の身が持たない。」

「そんな⁉︎蓮さん、私がどんだけボケっとしてると思ってるの?」
ムッとした顔をしてくる。

蓮は怒らせたと思うのに、昨夜の兄妹仲を見たせいか嬉しいなと思ってしまう。
何よりも昨日よりグッと心が近付いたような気がしてくる。

嬉しさを隠しきれない蓮は普段の冷めた眼差しはひた隠し、柔らかな雰囲気で笑顔を向ける。

外は木枯らしが吹き今にも雪が降りそうなくらいの寒さだ。

けれど、2人の乗る車はまるでこたつのようにぽかぽかで暖かな場所となる。