「知り合ってから1年も経ってはいないが、時間がそんなに大事か?俺は、直感を信じる。彼女以上に惹かれる人は2度と現れないと思う。」
凄い決断力だな…。
器もデカいし男として申し分ないくらいの包容力だ。
俺自身、長く付き合っていた女性と最近別れたばかりだ。足りなかったのは決断力か…。
心菜には荷が重すぎる相手な気がするが、こんな出会いは2度と無いだろう。
「実は、心菜に一度、一緒に住む事を誘ったんだが断られた。」
「マジか!さすがだな…心菜…。」
俺はつい呟いてしまう。
聞こえていたようで、北條蓮が苦笑いしている。
「まぁ妹は、結構怖がりなんで、貴方にって言うよりは、貴方の周りの環境に怖気付いてるんだと思いますけどね。」
芸能人と同棲なんてどんだけハードル高いんだ…。心菜のこの先を考えると少しばかりか、かなり心配になる。
「心菜のマンションの防犯が心配だ。オートロックも無いし、路地裏にあるから夜道が暗いんだ。」
場所的にも心配してくれてるのか…。
「俺は引越しの時に手伝いに行った事しか無いんですけど…
確か病院の寮が一杯で入れなくて、病院が手配してくれた物件だったはずです。とりあえずだとは言ってましたが…こいつ意外と危機感薄くて、心配っちゃ心配ですよね。」
心菜は普段はボーっとしてるから、学生時代も痴漢や付きまといとかに会って泣かされてたな。
もうちょい自分の可愛さに気付くべきだと思うが…。
「一心はどう思う?俺に心菜を任せて貰えるか?」
北條蓮が聞いてくる。
「駄目なんて言えないですね…。心菜が自分で決めるべきだし、コイツが幸せなら俺は良いので。」
「そうか…。
あと、俺の実家なんだが、若干厄介な家で今の仕事を始める時に勘当されてる。それ以来一度も帰ってない。そんな男でも任せて貰えるか?」
おいおい…。
そんなプライベート暴露しちゃっていいのか?ゴシップ雑誌にスクープされるくらいの内容だぞ。
俺はビビってつい唾を飲み込む。
「心菜はその事?」
「ああ、知ってる。」
「まぁ本人次第ですけど、心菜の事だから引っ掛かるだろうな…。
ああ見えて結構頑固だから、親の同意を貰えないとなると籍を入れるとかってのは…渋りそうですね。根が真面目だから…。」
前途多難だな…。
「だろうな。親の事も含めて近いうちにどうにかしたいと思ってる。心菜を巻き込む事になると辛いが…。」
「…意外と芯はしっかりしてるから大丈夫だと思いますよ。」
気休めだけどそう言って、北條蓮を励ましてやる。
俺の立ち位置は何だ?
心菜の兄なのに、なんで相談に乗ってやってるんだ?
若干の戸惑いがあるが、俺は親じゃ無いから反対する気は無い。
「貴方の意志さえ強ければ、心菜はブレる事無く着いて行くと思いますよ。そう言う子なんで。」



