誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

コンサート会場に入って指定された席に着く。

VIP席は開場の真ん中、機材が置かれた下の部分にあって、他のVIP席には年恰好から見て、多分関係者のお偉い方だろうと思う人々が数人だけ。

兄と心菜の両サイドは空席となっていて、2人だけ配慮されていた。

「凄いな、至れり尽くせりだ。」
兄はテンションを上げて今の状況を楽しんでいる。心菜はドキドキと緊張しながらひたすら舞台を眺める。

会場内が暗くなり、花道から伸びた中央の丸いステージに置かれた真っ白なグランドピアノにスポットライトが当てられた。

騒ついていた会場が一瞬でシン、と静まる。

心菜は緊張がピークになり、つい隣の兄の手握る。

蓮は照明の落ちた舞台サイドから現れ、それに気付いた客席からキャーキャーと黄色い声が飛ぶ。