「蓮さん、なんでこんなにお洋服が!?」

慌てたようにパタパタと心菜が風呂場からやってくる。髪も半乾きで…分かりやすく動揺している。

「その前に、ちゃんと髪乾かす。」

蓮は平常心を保って立ち上がりドライヤーを取りに行く。
心菜はその後をまたパタパタとついて来る。

「だって、びっくりしちゃって…。
なんでこんなに女性物のお洋服が?」

「心菜に似合うと思って買ったんだ。今日みたいに突然来た時困るだろ。」

淡々と話しているが、何気に心菜が選んで着てくれた服を見て、やっぱりそれだなと予想が当たって喜んでいる。

あの、心菜が好きだと言っていた犬のキャラクターの店で見かけたフワフワ生地のロングワンピースだ。

「ありがとうございます。可愛いいのばっかりで迷っちゃいました。」
素直に喜ぶ心菜を見ていると、少し罪悪感に苛まれる。

こっちの思惑としては、居着いて欲しいと言う下心満載なのに、純粋な心菜はそんな事はこれっぽっちも思わず、気付けば俺のテリトリーに囚われてるんだ。

「いいね。似合ってる。」

実は心菜と買い物に行った後、やっぱり気になり電話して取り寄せたのだ。

抱き心地が良さそうだな。と、思いながらほくそ笑む。