誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

あっ、蓮さんに連絡しなくちゃ。
スマホを取り出し電話をタップしようとすると、スマホが震えてびっくりする。

あっ、蓮さんだ。

「もしもし、お疲れ様です。」
どこか近くにいる筈とキョロキョロして道の向こう側を探す。

『お疲れ様。…今の誰?』

「今の?……あっ、山田先生ですか?」

『心菜と親しげだった。』

蓮さん、どこから見てたんだろう。前に歩きながら反対側の道に目を向ける。

「捕まえた。」

突然、後ろからぎゅっと抱きしめられてドクンと心臓が波打つ。
振り返るよりも早く気付いてしまう。

この温もりと香水なのかな?良い香り。

「蓮さん…。」
会いたくて、会える事が嬉しくて、だけど何よりもこの温もりが1番嬉しい。

幸せに包まれてホッとするのも束の間、
ハッとする。

ここ、公共の場…
サーっと血の気が引くのが分かる。

「れ、蓮さん…みんなに見られちゃいます…写真でも撮られたら大変です。」
慌てて腕の中から逃れようとする。

「心菜……俺、怒ってるんだけど。」

少し緩んだ腕の中で向きを変え、向かい合う形になってやっと蓮さんの顔を見る事が出来た。

だけど見上げても、黒のキャップを深く被って、不貞腐れるように遠くを向いている蓮さんと目線が合わない。

それでも、抱きしめる腕は私を捕らえて離さない。

「えっ?…すいません、待たせ過ぎちゃいましたか?」

「違う。」

せっかく会えたのに…
何で私、怒らせちゃったんだろう…そう思うだけで自己嫌悪に苛まれる。

答えが見つかるまで離してくれそうも無い。

恥じらいも、公共の場だっていう戸惑いも忘れて、蓮さんの大きな背中に手を回し抱き付く。