誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

ホッと一息付きながら、思い出すのは蓮さんの事。

入院中に2人で座ったベンチに座り、1人感情的になってしまう。

ふと、スマホに目を落とすといつの間にか着信メールが入っていた。

期待を込めて画面を開く。

あっ、蓮さんからだ!
それだけで嬉しくなって気分が上がる。

『来週水曜日、夕方終わりに迎えに行く。』
そう、素っ気ないメッセージと蓮さんの1か月分のスケジュール表。

ああ、やっぱり忙しい人。
週に1日は午後だけ、午前だけの休みがあるだけで、丸一日休みなのは本当に少ない。
今月は私と合う休みも無さそうだ…。

そう思うと一気に気持ちが急降下する。

水曜日は午後だけ空いてるんだ…。
迎えに来てくれるって事は…お夕飯作りに行っても良いのかなぁ?

1人おにぎりを食べながらいろいろと考えてしまう。

あっ、3ヶ月に1回になった健診が今月にあるんだ。病院で少しは会えるかな。

…コンサートのファイナルも今月なんだ…大変そう…。

おにぎりを食べ終えて、蓮さんにメールを打つ事にする。

「お疲れ様です。
水曜日、もし良かったらお夕飯作りに行っても良いですか?」

蓮さんはどう思うだろう?
何か行きたい場所とかあったらそっちを優先しよう。

次の日は…コンサートがあるんだ。
あまり長居も出来ないなぁ……。

はぁーとため息が出てしまう。
分かってた事なのに、彼は忙しい人。
みんなの北條蓮なのだから…独り占めなんて出来ない。しちゃいけないんだ。

メールを見ながら自分で自分を励ましていると、既読が付いてハッと驚く。

今、この瞬間、蓮さんと私はこのスマホで繋がっている。そう思うだけで感動してしまう。

ブルブルっとスマホが揺れて、返信が届く。

それだけで心拍数が急上昇してしまう。

『どうぞご自由に。何なら泊まって行ったら良い。』

メールを読んでスマホを落としそうになる。

泊まって……?泊まる?泊まるって…?

理解するまで少しの時間を有する。

えっと…そう言う事だよね…。
そう思った途端、心臓が跳ねて顔が真っ赤になる。

これは…揶揄ってるの?それとも本気!?

そうだよね…大人なんだもん。

普通、恋人同士だったら泊まるよね…どうすれば…どうするべき…頭はパニック状態だ。

またメールの着信が入る。

『無理にとは言わない。あんまり悩むなよ。』

ああ…この人は全てお見通しだ…。
1枚も2枚も上手だから敵う訳が無い…。

「考えておきます。」

と、だけメールを打つのが精一杯で…小心者の私は返信を見る事も怖くなって、急いでスマホをバックに仕舞う。