誰にも言えない秘密の恋をしました       (この唄を君に捧ぐ)

思いがけず話しは弾んで時間を忘れる。

太陽もいつの間にか西に傾き、空は夕焼け色に染まりとても綺麗だ。

しばらく車窓を眺めていた心菜が、
「わぁー蓮さん、海が見えますよ!」
と、歓喜する。

「少しどこかで休憩するか。
腹減らないか?夕飯でも食べて帰ろう。」

普段はあまり空腹を感じない蓮が珍しくそう思う。

心菜と話しているだけで不思議と癒され、くすんだ心が綺麗に浄化されるような感覚になる。

彼女の持つ空気感がそうするのだろうか。

そしてもう少し、もう少しだけでも長く一緒に居たいと思ってしまう。

「お腹空きました。
あっ、あそこにハンバーガー屋さんありますよ。」

心菜が海辺の小さなハンバーガーショップを見つけ嬉しそうに言う。

「心菜は安上がりだな。」
蓮はそう言いながらも、お望み通りのハンバーガーショップに入って行く。

「私が買って来ましょうか?」

なんせ蓮は有名人だから、心菜は気を遣って言うのだが、

「大丈夫、一緒に行く。」

大丈夫かなぁと心菜は心配になる。

どんなにキャップで顔を隠しても、醸し出すオーラは消せないと思う。

心菜の心配をよそに蓮は車を降り、わざわざ助手席まで回ってドアを開けてくれる。

「あ、ありがとうごさいます。」

何気なくそういう事が出来るのは大人だなぁと思ってしまう。

蓮が当たり前だというふうに手を差し出して来るからびっくりしてしまう。

「えっ!?」

そんな心菜を怪訝な顔で蓮は見る。
「何?繋ぐだろ、普通。」

「私、自慢じゃ無いですけど、デートとかした事無いので、こういうの慣れてないんです。」
そう言って、丁重にお断りしようと思ったのに、強引に手を掴まれ引っ張られる。

「れ、蓮さん。ちょ、ちょっと…
蓮さんはこういうの慣れてるかもですが、本当に緊張しちゃいますから、それに誰かに写真でも撮られたら大変ですし。」

心菜は思い付く理由を並べるが、蓮はまったく気にも止めずにハンバーガー屋に歩き出す。