「蓮さんは、才能に満ち溢れた天才ですから、少しくらい出来ない事があった方が丁度良いんですよ、きっと。」
「丁度良い?」
「だって、天才アーティストが家事も料理も完璧だったら狡いじゃないですか。」
「狡い?」
「そうですよ。何でも出来るパーフェクトな人間なんていないんです。だから、蓮さんはそのままで良いんです。」
蓮は思う。
心菜はそう言って俺を慰めてくれているんだと。
「俺は別に天才じゃない。強いて言えば計算高いだけだ。」
「計算?」
「どの音が世の中の人に耳心地良いか、分析して解析してメロディにする。売れるべくして作られてる、そう言う音なんだ。
だから、それさえ知ってれば誰でも出来る。」
心菜は目をパチパチと瞬かせる。
「でも、そこまで考えて音楽作ってる人なんて、蓮さんくらいですよきっと。
それが人とは違う天才なんです。」
うんうんと頷き心菜は1人で納得する。
「心菜にかかれば、悪徳商売も美德になりそうだな。」
そう言って蓮が笑う。
「だって、蓮さんの音楽で感動したり、励まされたり、背中を押してもらえたり、世の中の人の支えになってるんです。
それって、大きくみたら人を助ける看護と同じ仕事ですよね。」
「心菜のそういうところ、凄いと思う。
尊敬に値するくらいだ。
何だって肯定して、誰だって意味ある人にしてくれるんだ。」
蓮が妙に感心する。
「そんな…事無いですよ?」
「じゃあ聞くけど、嫌いな人とかいないだろ?」
「…苦手な人はいます。」「例えば誰?」
「例えば…うーん。」
心菜が腕を組んで考え出す。
「…蓮さんのマネージャーの人…ちょっと近寄り難くて苦手です。」
「アイツは俺も好きじゃ無い。」
ふふっと心菜が笑う。
「ちゃんとお話しした事無いですけど、話して見たら、もしかしたら良い人かもしれないですよ?」
「結局は良い人にしたいんだな。」
と、蓮も笑う。



