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その日の夜……。
「リリアーヌ……婚姻してからずっと不快な思いをさせてしまい申し訳なかった。だが信じて欲しい。俺の妻はリリアーヌきみだけだ。今まで言えなかったぶん、言葉にさせてほしい」
そう言ってグランツ様が抱きしめてくれた。
「リリアーヌ、愛している」
愛……している……。
グランツ様が私を……?
グランツ様は私を愛していると言ったの?
片思い歴が長すぎて、グランツ様の言葉が上手く脳で処理出来ない。
「…………」
呆然と呆ける私の頬を、グランツ様が大きな右手で触れてきた。
「リリアーヌ?」
ああ……こんな日が来るなんて……。
ずっとグランツ様はローズ様をお慕いしているものとばかり思っていた。だから、私の思いには応えてくれないとそう思っていた。
私も言葉にしても良いのですか……?
我慢しなくても良いのですか?
驚き、喜び、切なさ、歓喜。
今まで我慢してきた感情が入り交じり、グランツ様に伝えたい事が沢山あるというのに、言葉よりも先に涙が溢れ出してしまう。
「グランツ様……」
それだけ言ってグランツ様を見上げると、唇に柔らかいものが触れた。
えっ……。
これって……キス?
「嫌だったか?」
リリアーヌはボンッと顔から火を噴き出しそうなほど赤くなりながら、首をブンブンと左右に振った。
「そうか……良かった」
グランツ様がフーッと息を吐き出した。それからこちらを見ると、柔らかい表情で笑ってくれる。
何故かしら、今まで以上にグランツ様が輝いて見える。
ポーッとグランツ様を見つめたままでいると、コホンッとグランツ様が咳払いをした。
???
どうしたのかしら?
「その……リリアーヌ、お詫びと言っては何だが、今度の休みに出かけないか?」
グランツ様とお出かけ?
「良いのですか?」
フッとグランツ様が笑った。
「決まりだな」
「はい!」


