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 本日の騎士団での業務は一日鍛練となっていたため、リリアーヌは皆と共に走り込みをしていた。同じ場所をグルグルと走るのはつまらない。巡回がてら外を走るのも良いのでは?などと考えていると、副団長であるアロン様に声を掛けられた。

「リリアーヌ様、王太子殿下より至急の伝令がありました。すぐに王太子殿下の執務室まで来るようにとのことです」

「王太子殿下……ですか?分かりました。すぐに行きます」

 走り出してまもなくだったため、汗も掻いていない。

 グランツ様の部屋でシャワーを浴びたばかりだし、このままで大丈夫よね。

 リリアーヌは髪を整え、急いで王太子殿下の執務室へと向かった。

 王太子殿下の執務室までやって来ると、廊下に護衛騎士が二人立っていた。リリアーヌは二人に一礼すると、話を聞いていたのだろう。一人の騎士が頷き部屋の中にいる王太子殿下であるドミニクにリリアーヌが来たことを告げる。するとすぐに扉は開かれ護衛騎士に中に入るよう促された。

 リリアーヌは緊張しなが部屋の中に入って行くと、王太子殿下の執務机の前にグランツ様とローズ様が立っていた。

 どうしてこの二人がここに?

 歩を止めてしまった私に向かって二人は微笑んできた。

 どういうこと?

 立ち尽くす私の元にいつの間にかやって来たグランツ様が、固まったままの私の手を取りソファーに向かって歩いて行く。王太子殿下もローズ様の手を取ると反対側にあるソファーに腰を下ろした。私達はドミニクに促されソファーに腰を降ろす。リリアーヌの目の前では、ドミニク殿下とローズ様が手を取り合い微笑み合っていた。

 どういうこと?

 手を取り合う二人はまるで恋人のようだ。

 この状況は?