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門番での仕事が終わり、リリアーヌは騎士団本部にあるグランツの執務室へと向かった。
「リリアーヌ・サライヤス。門番での仕事が終わり参りました」
執務机に向かうグランツに向かって騎士の礼で頭を垂れると「大丈夫か?疲れたか?」と労いの言葉が返ってきた。驚いたリリアーヌが顔を上げると、そこには騎士団長の顔では無く、屋敷で見る優しい笑みを浮かべるグランツ様がいた。
「俺はこの書類を片付かなければ帰れない。リリアーヌは先に帰りなさい」
リリアーヌの視線の先には書類の束があった。
まだこんなに沢山……。
「これは本日中に終わるものなのですか?」
「どうだろうな?」
そう言ってグランツ様が困った様な顔をして笑った。
ああ……グランツ様……こんなに可愛らしい顔をして笑って……。
私はグランツ様のこの顔に弱い。
リリアーヌは顔が緩むのを剣の鞘を握って我慢する。
それにしても、この量の書類を一人で処理するのは無理なのでは?
これでは屋敷に帰って来れないことも頷ける。
「グランツ様、私にもお手伝いできませんか?」
「リリアーヌは疲れているのだから、帰って休みなさい」
リリアーヌの大好きな笑みを浮かべたまま、グランツ様が帰るよう促してくるが、リリアーヌは引き下がらなかった。
「少しでも良いのでお手伝いさせて下さい」
諦めずに前に出るリリアーヌに、グランツは困惑しながら溜め息を付いた。
「機密書類も多い。勝手に書類をいじられては困るが……こちらの書類の整理をお願い出来るか?」
差し出された書類を手にし、リリアーヌは瞳を輝かせた。
「はい!」


