自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!


 *

 門番での仕事が終わり、リリアーヌは騎士団本部にあるグランツの執務室へと向かった。

「リリアーヌ・サライヤス。門番での仕事が終わり参りました」

 執務机に向かうグランツに向かって騎士の礼で頭を垂れると「大丈夫か?疲れたか?」と労いの言葉が返ってきた。驚いたリリアーヌが顔を上げると、そこには騎士団長の顔では無く、屋敷で見る優しい笑みを浮かべるグランツ様がいた。

「俺はこの書類を片付かなければ帰れない。リリアーヌは先に帰りなさい」

 リリアーヌの視線の先には書類の束があった。

 まだこんなに沢山……。

「これは本日中に終わるものなのですか?」

「どうだろうな?」

 そう言ってグランツ様が困った様な顔をして笑った。

 ああ……グランツ様……こんなに可愛らしい顔をして笑って……。

 私はグランツ様のこの顔に弱い。
 
 リリアーヌは顔が緩むのを剣の鞘を握って我慢する。

 それにしても、この量の書類を一人で処理するのは無理なのでは?

 これでは屋敷に帰って来れないことも頷ける。

「グランツ様、私にもお手伝いできませんか?」

「リリアーヌは疲れているのだから、帰って休みなさい」

 リリアーヌの大好きな笑みを浮かべたまま、グランツ様が帰るよう促してくるが、リリアーヌは引き下がらなかった。

「少しでも良いのでお手伝いさせて下さい」

 諦めずに前に出るリリアーヌに、グランツは困惑しながら溜め息を付いた。

「機密書類も多い。勝手に書類をいじられては困るが……こちらの書類の整理をお願い出来るか?」

 差し出された書類を手にし、リリアーヌは瞳を輝かせた。

「はい!」