騎士達が敬礼し馬車が入ってくるのを見守る。もちろんリリアーヌも先輩騎士達に倣い、敬礼をして馬車が通り過ぎるのを待った。しかし、馬車はリリアーヌ前でピタリと止まった。
止まった?
どうしたのだろうかと思っていると、馬車の扉が開き中からドミニク殿下が降りてきた。
「やあ、リリアーヌ嬢。元気だったかい?」
そう言ってリリアーヌの前に立ったドミニクは、流れるような所作でリリアーヌの手の甲にキスを落とした。すると回りからキャーー!黄色い悲鳴が上がる。
リリアーヌは戸惑いながらも平静を装い、ドミニクと言葉を交わした。
「王太子殿下、仕事中ですのでこういうことは困ります」
一礼してリリアーヌが一歩下がると、リリアーヌを追いかけるようにドミニクが一歩前に出る。
「仕事で無ければ良いのかな?」
含みのある言葉を発しながらドミニク殿下が口角を上げると、何やら色気の様な物が漂ってくる。
これは……。
王子としての威厳とオーラが相まって色々と物凄い。
倒れる女性が出るのでは無いだろうか。
「王太子殿下、お戯れが過ぎます」
「リリアーヌ嬢はつれないね」
そう言って楽しそうに笑うドミニクにリリアーヌは苦笑した。
「殿下、視察からのお帰りなのでしょう。このような所で油を売っていてよろしいのですか?」
「おっと……けして油を売っていていたわけではないのだけどね。リリアーヌ嬢、名頃惜しいがまた会おう」
爽やかな笑みを振りまきながら、馬車に乗るドミニクを見守りながらリリアーヌは騎士の礼を取った。


